1997/11/03
路上の焼き栗屋さん
ウィーンは、今年は例年よりもひとあし早い冬の到来だそうです。ウィーンの森の落葉樹は、予定よりもずいぶん早く来た寒波に戸惑い、紅葉する間もなく大慌てで緑のまま葉を落としてます。一夏休まずに仕事を続けたイタリアからのアイスクリーム屋さんも、来春まで国に帰り、4月までのお別れです。
この時期にウィーンの公園や並木道を散歩すると、公園課の職員が、送風車で落ち葉を飛ばしては集め、それをバキュームカーで吸い取っているのが目に止まります。あまりに落ち葉が多いので、気を付けて歩かないと、落ち葉の中に隠れているウィーン名物の?犬のお土産をまともに踏んだりします。紅葉のきれいなウィーンの散歩を楽しむときには、ウィーン中に植樹されているきれいな街路樹ばかりでなく、普段よりも見つけにくくなっている、犬の爆弾にも気を配りながらの散歩となります。
栗は、古代ローマ帝国時代に食用としてイタリアから移植され、今ではウィーンの森を散歩していても所々に栗の木を見かけるほどに一般に浸透してます。栗は新鮮な今が食べごろで、この時期には市場やスーパーマーケット等ウィーン中どこにでも売ってます。
夏の間はみることがなかった焼き栗屋さんも、時には市電の停留所の屋根の下、時には繁華街の歩道など、ようやく人一人が収まるくらいの小さな箱を構え、その中で器用に仕事をしてます。焼き栗屋さんでは栗だけでなく、焼きジャガイモも大抵は扱っています。焼き栗に飽きたら焼きジャガイモも良いでしょう。
寒い冬、ウィーンの街を歩きながらの焼き栗の味は、夏には味わうことのできない、200円位の小さな思い出の買い物になることでしょう。