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1997/07/15

オーストリア公認通訳案内士

関連項目:
ガイド手配
現地斡旋員
日本からの海外添乗員
関連リンク:
How I became a Tourist Guide in Vienna(英)
通訳案内士(日)
日本観光通訳協会(日)

ガイドと添乗員の違い

現地ガイドとは、お客様を連れて日本から来る添乗員(旅程管理者) や、現地斡旋員と違います。日本なら通訳案内士(日)  (日本観光通訳協会(日))と呼ぶそうです。つまり、この国オーストリア共和国の観光ガイドです。日本の通訳案内士との違いは、通訳(翻訳)と案内を別の職業と考え、分けていることです。ガイドが通訳をするときは、ガイド料金ではなく通訳料金となります。ガイドは通訳ができますが、通訳がガイドをするには国の資格が必要です。

観光ガイドは、ドイツ語ではフレムデンフューラー/Fremdenfuehrer、ガストフューラー/Gastfuehrer、日本語ではローカルガイド、現地ガイド、ライセンスガイド等と呼ばれてます。今のところ ウィーンの日本語ガイド全員が現地滞在10年以上、平均すると20年以上の滞在者、というよりは・・例外を除き、オーストリア国籍保持者か そうでなければ永久ビザを持つ永住者です。

ヨーロッパにおける観光ガイドというのは、ローカルガイド(現地ガイド)ですから、限られた地域のスペシャリストです。ガイドにとって一番必用なことは、「何がどこにあるのか」 という知識です。

オーストリアのガイド試験

お客様からの便りガイド試験は、オーストリアのガイド試験制度上9つの自治州によってそれぞれ内容が違います。ウィーンでは週4日2年間のウィーン州(市)立 ガイド学校(独) を卒業すると国家試験の受験資格を持つことができます。試験は、筆記、口頭、実地の 3つの試験に分かれます。初週に筆記試験を取り、それから口頭試験です。量が多いだけでやりさえすれば誰でも合格する試験だと思います。

ガイド免許の第一歩は、ドイツ語の単語力からです。ガイド試験では、国家制度、法律、地質学、植物学、観光学、一般的な歴史の他に宗教史、政治史、建築史、そして音楽の都ウィーンの音楽史、その他、ウィーン、オーストリアの雑学等について、それぞれのスペシャリスト達の質問に全て合格後、最後に半日のバス車内のマイクを持っての試験と、路上ウォーキングと博物館・美術館内の実地試験を受けます。バスのコースと路上ウォーキング・博物館・美術館内試験の場所は事前発表は無く、そのときまでわかりません。ときには王宮、ときには教会、ときには博物館美術館 というふうです。ガイド中

これら全ての試験に合格することにより、いよいよ公用語ドイツ語のガイドライセンスを持つ公認ガイド資格を持つことになります。そして、受験勉強で覚えたことは全部忘れてしまい (~_~;)? 会社設立の申請ができるようになります。

日本語ガイドの場合は、公用語以外の言語ですから、普通のドイツ語による試験の他に外国語の試験があります。つまり日本語の試験と、その他日本史とウィーン史の共通点、接点等に関する試験をパスすると、晴れて日本語のライセンスガイドとなるわけです。試験官の話では、何故かわかりませんが?ヨーロッパで一番難しいガイド試験だそうです。

ガイドの守備範囲は人によっても違いますが、最低限この国オーストリア内は案内できないといけません。その外、元々は同一帝国内だったハンガリー、チェコにもガイド学校の授業の他に、実際に現地へ行き講習を受けますから、外国ではありますが一応守備範囲に入ります。

残念なことに学んだ内容で実際に使うのは半日のウィーン市内観光とウィーンの森観光がほとんどで、時々バッハウ渓谷観光やザルツブルグ観光、ブタペスト観光に出ますが他にはめったにその知識を必用としないのが日本語ガイドの実状です。

日本語のガイドは優秀なガイドが多く、志を立ててからだいたい3-10年の間に合格している人がほとんどです。皆ウィーンが好きな人や、ウィーンを愛する人ですから、親切で良いガイドばかりだと思います。ガイドをしていると、毎日様々なところで仲間に会いますが、仲間には恵まれたと感じてます。ガイドの仕事はハードですし、けっして裕福ではありませんが、今のところ なんとか生活はできてます。ウィーンも他と同じで住めば都です。

23.JUN-15.JUL.'97 高崎守弘